V字回復から更なる成長を
叶える事業の原動力

合同会社ユー・エス・ジェイ
執行役員副社長 オペレーション本部長 大出賢幸氏

攻守のバランスを保つ技術者の視点と経営者の視点

松 園

周りの方達との連携について教えてください

大出氏

前任のCMOが、今の連携の仕組みを作ろうと動いてくれていました。当時はマーケティングチームと技術チームの間に少し壁があったのですが、マーケティングチームでそれらを取り除くような会議や業務を構築していきました。定期的な会議を含め、小さなミスでも放置せずにすぐに解決に向かう仕組みになっています。 マーケティングチームは、集客率の高いものや楽しめるものを作りたいと考えています。これは仕方ないことなのですが、彼らは何が危険なのかというのをあまり詳しくは知らないのです。なので、オペレーションチームや技術チームがブレーキをかけなければいけません。今は、こういった仕組みがうまく機能するようになっていますね。

松 園

リスクばかりを考えず実績や経歴を生かした、柔軟性のあるマネジメントスタイルですね

大出氏

神戸製鋼にいたときに、最初に携わったプロジェクトのマネージャーがそういうスタイルをとられていたのです。私のそれまでの経験では、様々な提案や意見に対して拒否されることが多かったのです。ただ、その方はお金の心配はしなくていいからやってみてほしい、ダメでも責任はとると言って受け入れて下さいました。そういうこともあって自由にやらせていただきました。私にとっては、ものすごくありがたいことでしたし、技術者として一番成長できた時期でもありますね。

作り手としては、テーマパークのアトラクションに新しい技術を使いたいです。でも、最先端の技術というのは危険です。ただその技術を危ないからという理由で拒否してしまうと、世の中には当然浸透しない。時間とお金はかかってしまいますが、それを受け入れなければ、いいものはできません。

すべてはお客様のために ユー・エス・ジェイの風土とは

松 園

ドローンやロボットといった新しい技術が増え、トライできるようになると、それが事業に変わっていくこともあると思われます。このようなロケーションの中で、なにか実践的なことはありますか

大出氏

いろいろとご提案をいただいています。新しい技術の紹介やテストですね。最近だとVR関係が多いですが、弊社の安全のハードルはかなり高いので、安全の確保ができていなければテストも出来ないのです。これまでもいくつか依頼があったのですが、お断りせざるを得ない状況です。

松 園

技術面からみても、先端的な技術に触れる機会は多いのでしょうか

大出氏

そうですね。もちろん先端技術を使えば話題にはなります。しかし、これをお客さまは本当に楽しめるのかと必ず考えるんです。少しの味付けをするだけで、オーソドックスで昔ながらの技術が、ものすごく魅力的な新しいものになる場合もあります。なので、先端だけを追いかけるのが正解ではないと思います。

松 園

多様な国籍のお客さまが増えていると思います。グローバル企業ならではのメリットや日本人だけではできない発想はありますか

大出氏

お土産や飲食ですね。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの質にあわせて人気のでるようなものを考えて作らなければいけません。そういったウェイトは昔よりも増えています。それを意識しないと商品は在庫の山になってしまいますので、しっかりとしたマーケティングを行って、お客様の市場やニーズをしっかりとつかむ必要があります。客層を分析して、それに合うような商品を開発するということを最近は意識してやっていますね。

社員を大事にしてパークを最大化させる

松 園

御社の戦略をできる範囲で教えてください。

大出氏

株主がコムキャストになってから大きく方向転換しました。大阪にリソースをかけてこのパークを最大化するというのが今のテーマですね。

松 園

コムキャストさんの資本の中で集中的に実行していくということでしょうか。

大出氏

そうですね、コムキャスト傘下に入ってから、使えるお金も増えてきました。従業員の働く環境の改善、職場の待遇をよくする。こういったことにお金を使いなさいと言われています。従業員を大事にする社風ですよね、とてもありがたい話です。

松 園

日系企業と外資系企業では経営スタイル、オペレーション、レポートなどいろいろと差があると思います。御社はいかがでしょうか。

大出氏

あまり外資系という感じではないと思います(笑)。ただ、テーマパークのビジネスというのは何かを作るときにはチームワークが大切になってきます。どちらかというと、その方がビジネスはうまくいく場合が多いです。

松 園

今の経営の中で重要視している、優先順位の高いテーマはありますか。

大出氏

我々は「世界最高を、お届けしたい。」という強い思いをもって非常に高い基準でパークを運営してきました。コムキャストは堅実な経営をしながら確実に成長してきた企業なので、我々にはさらに厳格な安全管理やセキュリティの強化が求められています。

視点を高く、チャレンジする情熱を

松 園

将来、経営を担う人材や、いろいろな分野の技術に挑戦される方にメッセージをお願いします。

大出氏

私がよく、チームメンバーや部下にお話をするのは、想像力と挑戦する姿勢を大事にしてくださいということですね。挑戦しようという意志がないと新しいものも生まれません。なので、挑戦するという気持ちは絶対に忘れてはいけません。 もう一つ、将来リーダーになる方は俯瞰できる視点を必ず持ってください。この問題が展開したらその先どれくらいのリスクが生じるものなのかをもっと上の視点でみてください。 私が若いころは、知識がある人が偉いという風潮がありました。ですが、現在ではインターネットの発達もあり、情報と知識は比較的簡単に手に入るようになりました。ですから、それらを上手く使える知恵のある人になってほしいですね。
また、必ず現場には足を運んでください。いいことも悪いこともすべて現場で答えが出ます。現場を軽視すると必ず失敗します。

松 園

若い世代の幹部やマネジメントをされている方に一番伝えたいメッセージをお願いします

大出氏

一番は熱意ですね。仕事しているのに真剣に取り組んでいるのか分からない方が結構います。自分がおもしろいと思ったものは、なにかしらの熱意や情熱があると思います。もっともっと好奇心旺盛に、貪欲になっていいと思います。失敗を恐れずにチャレンジしてみてください。
そして、弊社のビジネスは本当に多岐に渡ります。勤めきったらものすごく面白い会社です。やる気になればありとあらゆることができます。興味のある方はぜひ来てください。

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