<世界中に幸せな団らん>を。
独自の<温もりのあるアイデア>により
地球規模で人々に笑顔を広げていきたい

タイガー魔法瓶株式会社
代表取締役社長 菊池嘉聡氏

できることは世界中にある。それを実現させるための経営理念。

松 園

創業者である先々代は創業当初から社員に企業理念を読み上げさせて厳守していたと聞いています。今では経営理念「Vision」「Mission」「Value」そして行動指針である「Credo」に進化してきました。これにはどの様な想いが込められているのでしょうか?

菊池氏

もともと祖父が会社を起こした時に作り上げた社是社訓が48項目あります。全部四字熟語でできていて、会社の事業、家の家訓、個人の戒め、などにおいて汎用性があり、あらゆる物事を判断する上での指標とされていました。後継者である私からみても素晴らしいことが書かれてあると思いますし、昔の社員は暗記していましたので結構大変でした(笑) 

そこで、タイガー魔法瓶株式会社90周年を迎えるにあたり、これからの100年、200年に向けて再定義をしたいと思ったのが経営理念と行動指針を作ったきっかけです。社員の意識などをリサーチし、客観的な視点から、経営理念「Vision」「Mission」「Value」そして行動指針である「Credo」を策定しました。全社員にコンセプトブックを配布し、名刺サイズの理念カードも作成しました。社員にはそのカードを常時携帯して貰うなどして、浸透を図っています。

ただ急に新しい理念を作った訳ではありません。表現を変えただけで、創業時と思いは変わっていません。「Credo」も当面注力したい10個に絞り、受け継いできたDNAを現代流にアレンジしただけです。現社員や外部の方、そしてこれから入社いただく社員の方にもご理解とご賛同をいただいてから当社に来て欲しいと思っています。

松 園

目先のことにとらわれず、行動規範、判断基準が心のなかにすべて入っているということですよね。「Vision」「Mission」「Value」そして「Credo」を定められた背景や経緯をもう少し詳しく教えてください。

菊池氏

なぜ経営理念を再策定しなければいけないのかという理由に、時代の変化があげられます。他社と違う価値を創造していかないと存続が難しい時代です。我社のDNA・社会的使命を見失ったり、それが他社と同じだったりすると不自然ですよね。マーケット事情と成長事業からいうと、国内での強みをグローバルに広げていかないといけないタイミングであり、企業のDNAそのものを世界に広げたいと思っています。最終到達地点は「世界中に幸せな団らんを広める」ことです。

この「幸せな団らん」という言葉は創業時からあるものです。温かいものを温かいままに、という発想から人々の笑顔を団らんに結び付けビジョンに掲げています。当社の社会的使命や存在意義は何なのかを考え、他社と異なる「温もりのあるアイデア」を込めていきたいと考えています。そのことによって、培ってきたブランドイメージがグローバルに発信されれば良いと思います。
まだまだできることは世界中にあります。温もりのあるアイデアがブランドとして受け入れられるよう、さらに広げていきたいです。

社員のやりがいをもたらす経営を。

松 園

社員一人ひとりにその考えを浸透していくのは大変なことではないでしょうか?

菊池氏

当社には歴史があり、その上に成り立っています。今までのやり方を全否定するのではなく、余計な仕事をやめて、本当に価値がある仕事に時間を割り当てたいと考えています。そのためには、やはり環境作りが大事ですね。過去の経験則をぶち壊してでもやっていかないといけないと思っています。

松 園

これまでのお話を踏まえてどのような人材を求めておられますか?

菊池氏

当社の理念に共感する方に来ていただきたいです。 もう一つは、年齢・役職問わずチャレンジ精神のある方です。 何かにチャレンジして失敗したとしても、すぐに報告すれば問題ありません

もっとスピードの早い他業種と比べると、メーカーは保守的に映るかもしれません。ITソフトであれば8割の完成度でもリリースし、その後に不具合を改善していくのが一般的です。しかし、炊飯器はそういうわけにはいきません。なぜなら万一故障すると生活に支障をきたすだけでなく、燃えて事故につながる場合もあるのです。よって品質を追い求めながらも常にチャレンジしていく風土を醸成していくバランス感覚が必要でしょう。

更にIoTの発展は、海外のほうが日本より早くて規模も大きいので、我々はどうなるのかという危機感もあります。 当社はガラス魔法瓶から始まり、電気製品を手がけたり、海外進出をして今があります。これからは炊飯器や魔法瓶にもデジタルの波が押し寄せてくることが自然ですし、その波に乗らないと取り残されてしまう惧れがあります。しかし一方で、先行している会社と同じではなく、我社ならではの特長を出しながらIoTを取り込んでいく必要もあります。単に「流行だから自社もやる」という事では、導入すること自体が目的になり、お客さま第一ではなくなってしまいます。
これからもお客さま第一を遂行し続けるために、他社とのコラボ、産官学の協働による研究開発、宇宙への取り組みなどを行っていきます。 その様な我社の方針に共感し、一緒に取り組んでくださる高い意欲をお持ちの方と是非一緒に働きたいと思っています。

松 園

経営者としての若い方へのメッセージをお願いします。

菊池氏

若い方に目指してもらいたいのは、とにかく外の世界、つまり海外の異文化や異業種を見ることです。グローバル展開を主眼に入れないと難しい時代になりました。若い方の中には海外での仕事や生活に興味がない方もおられますが、少し偏った考えの様に思います。たとえ国内の仕事であっても、海外事情を知らないと判断できないことや、時代の流れについていけないことが増えています。「海外を知り経験する」、少なくとも「見ること」は大切です。固定観念を持ち国内で殻に閉じこもるのではなく、世界中で次々に生まれてくる新しいビジネスにも打ち勝つようなチャレンジを続けて欲しいですね。

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