僕らはもっと未来の話をしたい。

株式会社サンワカンパニー
代表取締役社長 山根 太郎氏

別業界での経験を生かしたBtoCへの大転換

松 園

山根さんの経営ビジョンを教えてください。

山根氏

製品を売る、作るときに大切なのは最終的には実際に使う最終消費者であるお客様ですので、その心にいかに響くビジネスかを意識することです。
私たちは常に最終消費者の皆様の目線に立ち、機能面だけでなく直感的に「これが欲しい!」と思ってもらえるようなデザインに特化したオンリーワンの商品を作る。そこで競争相手に関わらず選んでもらえると考えています。
私はアパレル部門出身なので最終消費者の方を意識していましたが一般的に住宅設備機器や建築資材の業界はBtoBが基本です。そうすると最終消費者ではなく、対企業を考えてしまいがちなのですが、我々は常に最終消費者に目を向けたビジネス展開することができています。さらにインターネットで売るBtoCのビジネスモデルは、ダイレクトに顧客データを収集・活用できて、お客様が本当に求めている商品を適切な価格で提供でき、データに基づいたマーケティングと経営ができます。インターネットをはじめ情報が氾濫している中から選んでもらえるように、SNSを活用したり、東京ショールームを南青山の一等地に移転させたりしています。これも他業界出身の私なりの目線をもって実行したアクションです。
また、住宅設備機器のインターネット販売自体が、そもそも前例がない業態なので、新しく入ってくる方も同業他社からだと業界に染まっていて合わないことが多いのですが、成長意欲が高く、なんでもやってみたいという好奇心が強い人、異業種出身の方が上手くいっている印象です。実際部長職以上で同じ業界出身の者はいますが多くはありません。

松 園

なるほど。山根さんをはじめ、別業界出身ならではの視点が、改革に生かされていますね。BtoB主体の住宅設備機器業界にすれば、BtoCとは大改革。

山根氏

そもそも父が2000年に当時ゼネコンへの卸売だったビジネスモデルをインターネットで売るというチャネルは作ってくれていました。でも当時は直接決済比率が10%。BtoC向けのブランディングを拡大したのは2016年の8月に東京・青山にショールームを移転しフラッグショップにしてからです。
本社は日本第二の都市、大阪ですが、神奈川のほうがビジネスの規模・影響度が大きく人口も多い。やはり東京や神奈川を擁する首都圏でブランドを確立しないとダメだと考えました。中でも、おしゃれな住宅設備機器の会社というイメージを全国に波及させるなら、その発信場所は青山という場所にこだわりました。
さらに、お客様は30代〜40代の一次住宅取得層の人が多いのですが、デザインにこだわりを持っている方は年代問わずいらっしゃいますので、ユーザーの直接決済比率は上がっており、概ねうまくいっている実感があります。

松 園

興味を持ったお客様は、欲しい商品をリアルにイメージして最終的にネットで買うということなので、リアルも重要ですよね。

山根氏

おっしゃる通りで、私たちは元からリアル店舗の重要性を感じています。ECサイトのみで完結して購入されるお客様は増えていますが、実はインターネットがきっかけでショールームに来てくれたお客様の顧客単価の方が高いんですね。ショールームはお客様が直接見て、リアルに良さを感じてもらえばクロスセルの場、アップセルの場になっています。
また、インターネットを一つのきっかけとして広告流入からECサイト、そしてショールームへとカスタマージャーニーの動線を見ることができるのはサンワカンパニーの強みであり、これらのデータを精査できれば、この業界で初めてマーケティングをオートメーション化できる会社なんです。

松 園

一方BtoBの業者や工務店などに向けての施策はありますか。

山根氏

法人のお客様には、当時は現金前払いのみだったのを、一部法人用カードで払えるようにするなどサービス面を充実させています。
さらにデザインに特化している建築設計事務所さんや工務店さんとの取引を、今後ももっと増やして行きたいです。なぜならBtoCももちろん大事なのですが、住宅リフォームは10年に1回、新築は一生に1回といわれているので新規顧客がリピートしづらいんです。タッチポイントにこだわりすぎるとマーケティングコストがかかりすぎるので、バランスをとって、ある程度の利益はBtoBで作るという発想が重要だと考えています。
例えば今年購入していただいたBtoBのお客様にファンになってもらって、翌年も購入してもらえれば前年より売上が下がるということはないので、この利益を原資にBtoCのマーケティングにも生かし、さらにBtoBに展開してPDCAを回していく。その方が経営は安定するので両輪が大切だと考えています。

40周年を迎えて、新しい試み

松 園

商品のラインナップと、今後の方向性は?

山根氏

オリジナル商品にこだわっていて、サンワカンパニーのオリジナル商品はAmazonや楽天など他のECモールに出していません。これは、質を保つためにも価格は守っていきたいと考えているからで、他のサイトで買えるとなると、どうしでも価格競争になってしまいます。私たちが提供する商品を気に入ってくれるお客様が増えてきていますので、今後は、商品のカテゴリーの拡充を図っていきます。例えば新たに家電や家具などを共同で他のメーカーさんと開発を進めているものもあります。
また、商品以外にも販売後の施工に関して、お客様に安心感をもってもらえるようにしたいと思っています。以前は企業イメージをイケてるベンチャー感を出そうとしていて、それは採用面ではよかったのですが、お客様に対しては40年存続している会社であることをアピールする方が、安心して買っていただける材料だと思い、今後はそういった訴求を始めたいと思っています。

今後の展望と業界の現状

松 園

最近、家具メーカーや家電量販店が住宅分野に乗り出るなど競合は多い。どう差別化していこうとお考えですか。

山根氏

私たちは最終的には部材だけではなく家を売りたいという夢を持っています。個人的には注文住宅にはある意味限界を感じていて、一般の方がプロに注文する業界は他にありませんよね。例えばスマートフォンは高いけどみんな買いますが、それはスマートフォンとしていくらということで買っています。部材から作り上げるプロではないので、スクリーン1枚がいくらで…とか考えているわけじゃありませんよね。こういった考え方で、私たちなりのこだわりのデザインで、お客様のニーズに応えられるような家を販売したいですね。

松 園

昔からの業界に新風を巻き起こす家になりそうですね。

山根氏

住宅設備機器と建築資材業界は戦後、復興需要から始まり新築着工件数150万以上と、作れば売れるという状況だったので、これまであまり競争にさらされていませんでした。
例えば郊外の建売住宅で10戸並んでいて酔っ払って帰って来たらどれが自分の家か分からないぐらい個性がなくても売れていたんです。そこを私たちは自分たちで需要喚起していきたいです。住宅は縮小産業と言われていますが、俯瞰してみると一般消費の市場は約280兆円あり、事実、大阪ではみんなユニバーサルスタジオジャパンの安くない年間パスを多くの家庭が購入しています。家庭の家計からいかに住宅に使ってもらえるかまだまだ考え、できる余地が大いにあると考えています。

積極的な海外戦略と多様性

松 園

海外戦略について教えてください。

山根氏

海外戦略は失敗がつきものですが、失敗から学び続けて成果が出始めています。シンガポールは独立資本で進出し、自分たちでショールームも構えましたがうまくいきませんでした。そこで独資ではなく次に進出した台湾で合弁の形態にしました。それもうまくいかず現在合弁は解消しましたが閉鎖せずに代理店として続けていっており、今では代理店モデルが一番うまくいくことが分かりました。
現在台湾のほかに、ベトナム、中国、韓国、イタリアに販売代理店を持っていて今後は代理店を各国に増やしていきたいと考えています。

松 園

海外戦略もトライアンドエラーで、着実に販路を広げていますね。

今後必要な人材とは

松 園

御社に今必要なのはどんな人ですか。

山根氏

我々はこの業界では初めてECサイトでの販売をして、WEBマーケティングにも積極的に取り組んでいますが、現状はWEBのエンジニアがおらず外注に頼っています。これは将来に向けての課題ですので、まずはエンジニアのトップであるCTOを僕が口説いて来ていただくことで、優秀なエンジニアが集まる会社にしたいと思いますし、エンジニアが働きやすい会社にする環境も整備していきたいです。
将来的なエンジニアや外国人採用を考え、2019年の2月から服装を自由化しました。

松 園

エンジニアは多くの企業で不足しています。日本に限らず技術分野は外国人を採用することを考えるべきだと思います。2030年の国家戦略となるというけど、英語環境も含め変わって来ますよね。

山根氏

同時通訳のように使える商品が発売されたこともあり、これから言語の問題は技術の進歩で問題にならなくなるんじゃないかと見ており、語学力以上に多様性に対応することが大事だと思います。

松 園

最後にマネジメント層を目指す方や、御社を目指す方々にメッセージを。

山根氏

私たちは、リーディングカンパニーになりたいと思っています。まずは日本一、そして世界一を目指しています。日本にはすでにリーディングカンパニーはあり、そこで働いた経験がある人はいても、リーディングカンパニーになる過程を経験した人は多くないと思うんです。
ですので、リーディングカンパニーを一緒に作りたい人はぜひサンワカンパニーに来てほしいと思っています。旧態依然としていたこの業界には、逆にまだまだやれることがあります。外部環境を言い訳せずに、一緒にチャレンジして成長市場にしていきましょう。

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