“ビジョナリー・カンパニー”へと
続く道

プロパティエージェント株式会社
代表取締役社長 中西 聖 氏

キーワードは「IT×都心×不動産」

御社の事業について教えてください。

プロパティエージェントの特長は、ただ投資用として不動産を扱うのではなく、モノづくりの考え方で顧客サービスをしているということです。当社の強みは「IT×都心×不動産」。ITを活用したオウンドメディア4つと、コミュニケーションツールを持っています。これによって顧客に不動産投資の認知や動機付け、当社商品の生涯価値の提示などを行い、その先に23区の中でも都心エリアに特化した不動産商品を提供するという事業をしています。日本全国の人口は減っていますが、人口が増えている東京の将来性を見越して、都心だけで事業のポートフォリオを4つ構成しています。

オウンドメディアのひとつは、投資用の不動産ユーザーを対象とした『不動産投資タイムズ』。
2つ目は『住み方ラボ』。新しいコンセプトで住宅の使い方を提案しています。時代によって、住み方は変わっていくもの。「1970年代の代表的な間取りは3LDK、2000年代は2LDK、これから先は1LDK」と我々は提唱しています。働く女性が増えて、家賃と変わらないコストでローンを組める。加えて都心なら、将来結婚しても人に貸せば投資効率がいい。他人に貸したり子供に住まわせたり、それから子育て後にアクティブシニアとして、また都心に帰って来ることもできる。そんな多様性のある使い方が出来る住まいを、我々は「ダイバーシティレジデンシャル」と名付けています。これを推進しているのが『住み方ラボ』です。
3つ目は、賃貸仲介メディア『オレンジルーム』。4つ目は人工知能の“ランダムフォレスト”という機械学習のアルゴリズムを使って、ビッグデータで全国13万棟のマンションの相場が一瞬で分かる『ふじたろう』というサービスサイトを作っています。ここで実現したいことは、不動産の情報の非対称性を解消して取引流通量を増やすこと。

この4つのオウンドメディアが、我々のインターフェイスです。そこには、価格相場や資産の売却価格を知りたい人、単身者で賃貸や購入を考えている人、投資マンションについて知りたい人たちがアクセスしてきます。そこから我々の事業である不動産投資開発販売、賃貸管理、建物管理のサービスの提供につながります。その事業を底辺で支えてくれるのが未成約のユーザー。また、成約しても例えば数年後には賃貸から分譲を買うかもしれない成約済みのユーザーです。そのユーザーたちをクラウド上で管理して、ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を高められることが強みです。

これからが本当のイノベーション

ITを駆使したオウンドメディアに集ったユーザーを、潜在顧客にできるのですね。急成長を遂げた今、どのような展望をお持ちですか?

我々が掲げていた短期ビジョンは2016年3月で終わり、今は中期ビジョンの達成を目指しています。投資用不動産業界で質量ともにトップを取ることと、事業領域の拡大の2つ。その抽象的なビジョンをKPIにブレイクダウンすると、知名度、顧客満足度、売上高供給戸数、従業員一人あたりの営業利益、そして時価総額です。これを、競合として設定している企業の中で、すべて一番を取るべく事業を進めています。長期的には先にお話ししたように、ビジョナリー・カンパニーになって、いずれ僕がいなくなってもイノベーションを起こし続けて、世の中を変えられる会社にしたいと思っています。人の生活パターンを変えるイノベーションを起こしていく会社です。

実をいうと、サイバーエージェントの藤田さんや、楽天を広く認知されるように育て上げた三木谷さんにコンプレックスがあるんですよ(笑)。例えばファッション通販のZOZOTOWNもそう。昔は洋服を買うのにネットで買うことなんて無かった。それを浸透させて、やり遂げた人たちは本当に凄いなと思う。プロパティエージェントも、ようやく会社の組織体制や長期ビジョンが整ってきて、イノベーティブなことに走れるスタートが切れそうなところまできました。イノベーションを起こし続ける企業になるために、今のうちからイノベーティブな新規事業の種をまいています。30個のうち1個くらいは当たればいいなという気持ちで、フレキシブルに取り組んでいます。

人とのつながりが、新しいチャンスになる

今後、経営者を目指す人にメッセージをお願いします。

「目指すというなら、今すぐ始めなさい」ですね。
他にアドバイスするなら、とにかく一流の経営者との人脈をつくること。人とのつながりが全てだからです。例えば僕は会社を上場してから、IT系の人たちとの異業種交流を始めました。そのコミュニケーションの中で、自分の考えが真実に近づいてくる感じがある。普段は自分の事業、いわゆる井戸の中で仕事していると“井の中の蛙”になってしまいがち。だから時には井戸を出て、異業種の人と本音で話し合える場が必要だと思います。よく会社を船に例えますが、僕は船が浮かんでいる水の部分はITだと思っている。それほどITは重要なファクター。また、イノベーティブな事業を考える時に、アイディアの源になるレアな情報を得られるのも、人とのつながりがあればこそです。

もし若くして起業を目指すなら、優秀な経営者を見つけて「こいつ面白いんだよ」と言ってもらえるような関係になれるといいと思う。「将来、数年で独立したい」と言ったら興味を持つ経営者がいっぱいいると思いますよ。

最後にお聞きします。冒頭からナンバーワンになるというフレーズが出てきましたが、やるからには一番をとりたいという強いこだわりをずっと持ち続けているのでしょうか。

そうですね(笑)一番の方がいいじゃないですか。単純な話、徒競走したら一番を取りたくなるのと一緒かもしれないな。

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