1%の可能性を追求し続ける

株式会社ジュエリーアセットマネジャーズ
代表取締役社長  藤野 匡生 氏

目の前のチャンスを、逃したくないという思い

その後、ハンズオンでベンチャー企業を立ち上げる投資会社、株式会社エムアウトの投資先であった株式会社アイデクト(現ジュエリーアセットマネジャーズ)に入社し、代表取締役社長に就任されます。

お恥ずかしい話ですが、当時所属していた株式会社エムアウトが投資している企業の中で一番できの悪い投資先でした。「ベンチャーの良いところはすぐにつぶせるところだから、早くつぶしましょう」と言っていたくらいです。 ただ、エムアウトのCEO、ミスミグループ本社の創業者でもある田口さんは、「ジュエリーはどこの家庭にも必ずあり、マーケットはまさに宝の山。商売がうまく行かないのはやり方の問題だ」と譲りませんでした。「ベンチャーたるもの、宝の山を前に参入しないでどうするんだ」と。反論できない正論でした。

私も当時いろんな人に相談しましたが、目の前にチャレンジできる環境があって、中でも経営者という仕事ができるチャンスはそれほど多くない。だったらやってみようと思って代表就任を決意しました。
正直ジュエリーにもそれほど興味があったわけではないし、元銀行員の感覚からするとこのデフレの時代にジュエリーを買う人がいるのか疑問でした。そんな風に思いながらも、目の前のチャンスを逃したくないと思い飛び込んでみることにしたんです。

ジュエリーを、金融商品と同じ“資産”という考え方に転換

2009年に代表就任されてからの経歴を簡単に説明してください。

ジュエリーのリフォームがメインだった会社を、今の当社の事業形態であるジュエリーのアセットマネジメントに転換したのが昨年まで取り組んでいたことです。ジュエリーのリフォームというのは、もしジュエリーを10個持っていたとすると、そのうちのせいぜい2個くらいのニーズしか拾えません。アセットマネジメントへの転換というのは、それを10個すべてに対してサービス提供します、という風にマーケットを広げることなんです。銀行や不動産と同じように、ジュエリーも資産として扱うという考え方に変えました。

なるほど、非常にシンプルですが、今までのご経験が詰まったビジネスモデルなんですね。

お客様のことを当社ではオーナー様と呼びます。そのオーナー様に対して不動産と同じように資産運用のアドバイスをしていく。不動産は国がデータベースを作っていますが、ジュエリーにはデータベースがありません。このデータベースを当社で構築することを考えました。

人は持っているジュエリーの数を他人にあまり教えることはないため、このデータベースを構築できれば競争優位性になると思いました。

リーダーシップが苦手だからこそ、ビジネスモデルを追求する

経営者としてのリーダーシップについてはどのようにお考えでしょうか?

実は、リーダーシップを取るのは昔からあまり得意じゃないんですよね。 初めてマネジメントに携わったのは30歳前後でした。ちょうど富士銀行から富士総合研究所に異動した頃で、部下が4~5人という環境でした。その次は再び銀行に戻った頃で、課長職で部下15人ほどを見ていたのですが、どちらの環境でもけっこう苦労しましたね。

年齢的にこちらが上であっても業務経験は部下の方が豊富というケースもあり、業務の見本を示すこともできない。こうした中で、自分には人間的魅力や求心力だけで組織を引っ張っていくのは苦手だなと思うようになりました。

その代わりに、「人が興味を持つ新しいビジネスモデルを生み出し、それによって人を惹きつける」ことをやろうと。今のジュエリーアセットマネジャーズのような他にはないビジネスモデルを提唱し、それによって組織を引っ張っていくことが、人としてのリーダーシップが苦手な私なりのやり方なんですよね。

面白い考え方ですね。

魅力的なビジネスモデルを提示して、組織に人がついてくれば、その中で私よりもマネジメントが得意なメンバーが出てきますから、その人に任せていけばいいのです。全部自分でやることだけがリーダーシップではないと思いますね。

一般的には、人に興味を持ってもらうような新しいビジネスモデルを生み出すことこそ大変だと思うのですが、そこはどのような経験が活きているとお考えですか?

ここに関しては仕事の経験というよりももともとの性分のようなものが大きいかもしれません。人と同じことが好きじゃないとか、人とちょっと違うことがやりたいという思いが昔から強いようには思います。。

常に新しいビジネスモデルを考えてらっしゃるのですか?

新商品や新サービスを考えるのがすごく好きなので、電車での移動中でも家でも、そればっかり考えていますね。メモもずっと手放しません。あっという間にメモでいっぱいになってしまいますが。

1%の可能性を追わなければ、魅力的なビジネスモデルは生まれない

ビジネスモデルを磨いていくために必要な要素とはどんなものでしょうか?

やはり本質にアプローチできるかということではないでしょうか。日本のような成熟したマーケットでは、100のサービスを提供しても100の対価を得ることはできません。120くらいのサービスを提供してやっと100の対価をもらえる。お客様がお得感を持たなければ選ばれることはないため、ここの付加価値をどう高めるかが重要です。 この付加価値をどこに置くかという本質を突き詰めて考えないと、魅力的なビジネスモデルは生まれてきません。

多くの経営者の方と接する機会もありますが、本当に新しいビジネスモデルというものは滅多にありません。世の中のビジネスモデルの99%は既存のビジネスから派生したものです。それだと私のようなタイプは、リーダーシップを発揮することができない。残りの1%を追求し続けない限り、求心力のある事業にはならないと思いますね。そういう意味で、私たちの構築しているジュエリーデータベースは、世界でも唯一無二の存在になれるのではないかと思っています。

今後の方向性についてはどうお考えですか?

今はまだ芽が少し出たくらいだと思っています。サービスの認知もまだまだですし、何よりもジュエリーの資産運用ということが当たり前になるような社会にしていきたいですね。

日常生活でジュエリーのことを考えることはあまりないと思いますが、実はジュエリーには金融商品と同じような資産価値があるものも多く存在します。金融商品と同じようにジュエリーを考えることがスタンダードになっていくようにしたいと思っています。

こうした当社のビジネスモデルに興味を持ってくれる方にジョインしていただき、当社のサービスを私たちと一緒にもっと広めていってもらいたいですね。芽が出つつある私たちのビジネスをもっと太い幹にしていくことが、私自身が今もっとも注力すべきことだと思っています。

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